
みなさんこんにちは!埼玉県にある「ミニバン専門店ラインアップ」代表の菊池です。
自動車を安全に走行させるためには、タイヤが果たす役割は非常に大きなものがあります。
タイヤは、地面に車の重量を支えたり駆動力を路面に伝えたりする役割を担います。
また、路面からの衝撃を吸収するなど快適に走行するための機能も持ち合わせているのです。
タイヤにおいて、重要管理項目となるのが空気圧です。
ついつい放置しがちな空気圧ですが、命を守る役割を果たすタイヤでは空気圧は常に管理しておく必要があります。
では、なぜタイヤの空気圧はなぜ重要となるのでしょうか?
本記事では、空気圧の正しい知識と点検方法を徹底解説します。
はじめに|「知らなかった」では済まされない、タイヤ空気圧の重要性


タイヤの空気圧は、管理されていないケースが散見されます。
しかし、タイヤの空気圧が適正ではない場合、大きな事故に巻き込まれてしまうケースも少なくありません。
ここでは、知らなかったでは済まされない、タイヤ空気圧の重要性について紹介します。
空気圧について改めて理解することで、より安全に運転できる環境を整えることができるので、ぜひ参考にしてください。
なぜ今、空気圧の話をするのか?
タイヤの空気圧とは、タイヤ内に充填されている空気の圧力を指します。
空気圧は、タイヤの性能や安全性、燃費に大きく影響します。
適正な空気圧を維持することで、タイヤの寿命を延ばして快適なドライブを実現可能です。
逆に、空気圧が適正ではない場合に大きな事故を発生させるリスクが高まります。
空気圧は、高すぎても低すぎても問題となります。
空気圧が適正ではないことによる事故として、空気圧不足によるバーストが挙げられ、高速道路の事故原因の多くを占めている状況です。


高速道路でタイヤがバーストしてしまうと、大惨事を招きかねません。
タイヤでは、ゴムの分子の隙間より空気が漏れることによって自然に抜けていきます。
タイヤはゴム製品であり、風船のように空気が透過する性質があるのです。
特に、酸素は窒素よりも分子が小さい関係上、ゴムを通過しやすい特性があります。
以上のように、自然減少や温度変化などで月に5%から10%は空気が抜けていく傾向があります。
以前は、タイヤの空気圧は主にガソリンスタンドで給油してもらうと同時に確認してもらうのが一般的でした。
しかし、セルフ式ガソリンスタンドが普及することでチェック習慣が失われている傾向があります。
空気圧が適正でないと起こる4つの危険


空気圧が適正でない場合、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
特に、以下4つのリスクがあることを認識しておくことが重要です。
各危険性の詳細は、以下のとおりです。
① タイヤがバーストする
タイヤの空気圧が適正でない場合、最も恐れるべきなのがバーストの発生です。
バーストとは、何かしらの影響により大きな破裂音が発生したと同時にタイヤが一瞬で破裂する現象のことです。
一般的に、パンクと混同しがちですが、パンクは釘などが刺さった影響で徐々に空気が抜けていく現象であり、症状が異なります。
タイヤがバーストする際、スタンディングウェーブ現象が前兆として現れます。
スタンディングウェーブ現象とは高速走行しているとタイヤが波を打つように変形する現象であり、タイヤが異常であることを示す重要なサインです。
走行中の車を運転手が確認することは難しいものの、車体の振動や違和感として捉えることが可能です。
しかし、実際には運転者が気付かずにバーストするケースも多く見られます。
バーストは、空気圧不足の状態で高速回転すると、熱が発生して爆発的な破壊を引き起こします。
空気圧が適正な状態を維持できていれば耐えられるものを、タイヤが荷重や衝撃に耐えられずにバーストしてしまうのです。
バーストは、空気圧が高すぎてもタイヤに亀裂が入りやすくなり、発生する可能性があります。
タイヤがバーストすると、ハンドル操作が不能となり車両の制御が困難になり、重大な事故につながるケースがあるので危険です。
② ハンドルが効かない・滑る
空気圧が低下すると、ハンドルが効かなくなったり滑りやすくなったりします。
走行安定性の低下により、ハンドルが重く感じられるようになります。
これは、空気圧が減ることでタイヤが変形し、路面との接地面積が増えるためです。
重度の場合、ハンドル操作自体が効かなくなる可能性もあるので注意が必要です。
滑る症状については、空気圧が高すぎる場合は接地面積が少ないため、雨の日などにスリップしやすくなります。
一方、空気圧が低いと水が溜まった路面を走行する際、タイヤと路面の間の水分によりコントロールが効かなくなる、ハイドロプレーニング現象が発生する可能性が高まります。
これは、タイヤの空気圧が低下するとタイヤの中央部分が路面に適切に接地しなくなるため、溝からの排水が効率よく行えません。
これにより、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなるのです。
③ 偏摩耗でタイヤ寿命が縮む
空気圧が適正でない場合、偏摩耗によってタイヤ寿命が縮むリスクが高まります。
辺摩耗とは、タイヤのトレッド部分が均一にすり減るのが通常であるのに対し、一部だけが異常にすり減る状態のことです。
これは、空気圧が定性値ではないことで接地のバランスが崩れるためです。
空気圧不足の場合、主にショルダー(端)から摩耗していきます。
逆に、空気圧過多のタイヤが丸くなり中心部分の接地圧が大きくなるのでセンター(中央)が減りやすくなります。
辺摩耗は、タイヤの寿命を減らすだけでなく車の足回りや走行性能に悪影響を及ぼし、車検に通すことができなくなるリスクもあるので危険です。
④ 燃費がガタ落ちする
タイヤの空気圧は、燃費にも大きな影響を与えます。
JAFがタイヤの空気圧を低下させた車を用いて検証した結果、空気圧の30%減で燃費は4〜5%ほど悪化、空気圧が60%減では10%以上も低下するというデータがあります。
なぜ燃費が悪化するのかといえば、接地面が増えることにより転がり抵抗が大きくなるためです。
燃費のことを考えると、空気圧は規定値よりも若干高めの方が良いとされています。
自分で常に空気圧を管理する場合、ポンプが必要です。
ポンプを購入する費用は数千円かかりますが、それを節約しようとしてガソリン代年間1万円程度の違いが発生してはもったいない話です。
よって、燃費のことを考えても空気圧の管理は重要なポイントとなります。
適正空気圧とは?知っておくべき現代の基準


タイヤの空気圧は、高すぎても低すぎても問題となります。
適正値で管理して、初めて最適なパフォーマンスを発揮します。
では、適正空気圧とはどのような設定となっているのでしょうか?
ここでは、定性空気圧について知っておくべき現代の基準を解説します。
旧常識「2kg」はもう通用しない
タイヤの空気圧は、かつては2kg(200kPa)が常識とされていました。
しかし、現在製造されている乗用車用のタイヤは、大半は指定空気圧が200kPaから280kPaとされています。
また、上限値は概ね220kPaから300kPa程度となり、設計上の最大で350kPaまで耐えられると言われています。
軽自動車でさえメーカー指定が300kPaとなっていることも多いです。
以上から、古い常識である「2kg」はもう通用しないのです。
なぜ空気圧が高めになってきているのかといえば、車体重量増加や燃費競争、タイヤの大型化が背景として挙げられます。
特に、省燃費対策としてメーカーとしても少しでも燃費を良くしたいために基準を高めに設定している傾向があります。
あなたの車の空気圧はどこで見る?
適正空気圧は、それぞれの車によって異なります。
自分の車にとって最適な空気圧の設定は、車の運転席ドアの内側や給油口の蓋の裏などに貼付されている、空気圧表示シールを確認可能です。
シールには、タイヤサイズと対応する適切な空気圧(kPa単位)が記載されています。
また、取扱説明書で確認することも可能です。
しかし、積載する荷物の量や重量に応じ調整する必要があり、一般的には重い荷物を搭載している場合は空気圧を少し高めに調整した方が良い場合もあります。
高すぎる空気圧も危険!その理由


空気圧が少ない場合、様々な影響がある一方で高すぎる空気圧も危険です。
適度な空気圧の高さは燃費性能を向上させるものの、過度の空気圧の高さはリスクになるケースが多いです。
ここでは、高すぎる空気圧の影響について解説します。
一見燃費が良くなるが…
空気圧を気持ち高めにすることで、一見すると燃費が良くなりメリットに感じがちです。
しかし、空気圧を高くするとタイヤのクッション性が失われるため、硬い印象を受けるようになります。
これにより、ちょっとした地面のデコボコであっても吸収しきれずにダイレクトに車内に伝わってきて乗り心地が大きく悪化します。
また、タイヤが跳ねるような感覚となるので、操縦安定性が低下する可能性も高いです。
さらに、ロードノイズも増大となることが多いので、燃費が良くなるメリット以上にデメリットが大きくなる可能性があります。
偏摩耗と破損リスク
空気圧を高くすることで、センター摩耗が顕著となるのでタイヤの寿命が短くなる可能性があります。
これにより、予定よりも早く交換時期を迎えてしまうため、ランニングコストがアップしてしまいます。
また、衝撃吸収力の低下によって割れや破損の危険性もあるのです。
空気圧はどうやって点検・調整すればいい?


空気圧の管理が重要であることを理解できたところで、どのように点検や調整できるかも理解しておくことが重要です。
ここでは、空気圧点検の基本ルールや点検、補充の手段を紹介します。
点検の基本ルール
空気圧の点検は、月に1回の頻度で走行前の冷えた状態で確認するのがベストです。
これは、走行後は20kPaから30kPa程度高い数値が表示されるためです。
点検・補充の手段
空気圧の点検と補充は、業者などに依頼するか自分で実施するかでやり方が異なります。
業者に依頼する場合、ガソリンスタンドやタイヤ専門店、ディーラーなどで対応してもらえます。
特に手軽なのがガソリンスタンドであり、給油のタイミングで依頼すれば無料で点検と補充してもらえるので便利です。
ガソリンスタンドでは、有人だけでなくセルフでも空気圧点検と補充に対応しています。
自分で空気圧を点検する場合、携帯用エアチェッカーを使用するケースが多いです。
価格的に数千円程度で購入でき、点検と補充も簡単に行えます。
定期的な空気圧点検以外でも、後付けTPMS(空気圧センサー)を使用すれば、常時監視できるので便利です。
結果をスマートフォンでチェックできるものが多く、必要な情報が通知される仕組みを採用しているので使い勝手が良いメリットがあります。
なぜ最近は「空気圧が高い指定」が増えているのか?
先に紹介したとおり、最近は空気圧の基準を高く設定しているメーカーが増えています。
なぜ空気圧を高く設定し停るかといえば、以下の理由があるためです。
各理由の詳細は、以下のとおりです。
理由① 燃費性能の向上
最近の車が空気圧を高めに設定している大きな理由は、燃費性能を向上させるためです。
タイヤの空気圧を高くすれば、タイヤの接地面積が減るため転がり抵抗を減らすことができます。
これにより、車を走行させるために必要なエネルギーを減らすことができるので、燃費向上を図ることが可能です。
これは、個人だけでなく自動車メーカー自身が高い指定にしている傾向があります。
理由② 車両の大型化・装備増加
車両の大型化や装備の増加がみられるため、空気圧が高くなっている傾向があります
車両が大型になったり、装備が増加したりすることで、車の重量が重くなります。
特に、ボディ剛性装備による重量増加は顕著であり、車重に大きな影響を与えているのです。
車重が重くなれば、それに耐えられるように空気圧を高めに設定する必要があります。
理由③ タイヤの大径・低扁平化
タイヤの大径化や低扁平化が進んでいることも、空気圧が高くなっている理由の1つです。
タイヤの大径化と低扁平化は、スタイリッシュな車が増えているため、それに合ったタイヤが求められているためです。
特に、人気ジャンルであるSUVの場合はタイヤサイズが大きなものが主流となっています。
低扁平化すると、タイヤ内の空気量が減るため圧力で支える必要があり、空気圧が高くなっている傾向が見られます。
まとめ|タイヤの空気圧は“命綱”
空気圧管理は、誰にでもできるメンテナンスの1つです。
空気圧は命・燃費・財布を守る、とても重要な要素となります。
最低限、月1回のチェックは確実に実施しましょう。
自分と家族を守る最も簡単な予防策として、空気圧の管理をしっかりとおこなってください。




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